コロナ感染カーブと株価チャート~思考の固有周期の差

政府のドダバタ対応や市民の反応を見ていると、その背景に、「事象が直線的、あるいは、右肩上がりか右肩下がり、しかない」という思い込み、思考習慣があるように思う。別の言い方をすれば、思考の固有周期が長いのだ。ゆえに、一度、コロナ感染が悪化すると、どんどん直線的(指数関数ではなく)に悪化、あるいは一度、改善すると、どんどん良くなると考えるのだろう。政府のGOTOキャンペーンやスポーツ観客など緩和策、大学の緩和ロードマップも同様だ。今は、慎重に対応するが、徐々に良くなるから、夏、秋、と緩和していく。これに対し、疫学者は季節サイクルで考えており、秋冬を警戒する。

 半導体業界の人間は、シリコンサイクルに慣れ、それ以外の変化を知っているから、世の中が直線的に動くとは考えていない。思考の固有周期は短くかつ変動する。株屋は、もっといろいろな株価波動を見ているから、常に波で考える。

 理系と文系の差もあるかも知れない。数学で二次関数、指数関数はじめ、色々な曲線を見てきているので、物事を直線的に考えない。しかし、文系は直線が中心であり、経済学でも、直線で考えることが多く、ゆえに、統計など相関性でも、変曲点や最大最小値や極値があるとう発想がないように思う。理系で、いろいろなグラフを勉強し、シリコンサイクルに慣れ、株価チャートを見てきたので、感染グラフも、そういう意識で見ている。基本は、ロジスティク曲線を前提にしているが、もちろん、第二波や第三波、いろいろな波動があるだろう。

 

 コロナの発症は1-2週間、各国の感染サイクルは2-3ヶ月、この固有周期を念頭に置いて、対策、特に、経済活動の緩和と引き締めを行うことが重要だ。これが逆だと、下手な投資家のように高値掴み、下手な半導体経営者のように、赤字が膨らむ。国の固有周期が短い台湾が成功しているのも、こうした背景があるのではないか。