グラデュエーションペーパー、技術経営論文が一般解、ビジネス企画提案が個別解

ここ数回、また、過去にも議論しているが、MOTのグラデュエーションペーパーには、技術経営論文とビジネス企画提案がある。前者が一般解を目指し、後者が個別解を目指す。以前、MOTペーパーと言っていた時は、両者が一緒で、方向性が曖昧だった。

 社会人ならではの日頃の業務経験から問題発見、普遍的なBig Qとし、内部の話も含め、色々な事象から仮説を出すまでは、二つとも同じだが、技術経営論文は、検証に関し、論理性・客観性を重視するのに対し、ビジネス企画提案は検証を現実の実用性から判断する。

前者は、いわば経営理論的になるが、理工学と異なり、経営理論には標準はなく、学会で検証されたと認識されても、それがすぐさま、実際のビジネスで否定され、後追いで、新たな「理論」が生まれ、また、実務で否定され、というのが日常茶飯事である。ただ、否定された理論も、ある条件では成立する場合もあり、さらに、そうしたMy理論を作ることで、分析力もつき、また、理論を自身で発展改良できる。

 

後者は、個別解、特殊解であり、例えば、新規事業提案で、社内を説得、予算がついて、顧客を獲得し、売上が立てば、それが、何よりの検証(解無しでなく、特殊解の存在が実証)だが、重要なことは、偶然や勘でなく、仮説検証のプロセスを経て、成立条件も認識されていることである。偶然の成功ならば、その成功体験を横展開しても難しいが、こうしたプロセスを経ている場合は、新たな特殊解を発見しやすいだろうし、生み出すプロセスを見える化し、共有することで、再生産されやすい。