去る7月31日に、経産省産業政策局が「事業再編実務指針」を発表、これまでのESGやガバナンス等の話題から、事業ポートフォリオ見直しという企業ドメインの本丸に対して政策を出している。すなわち、事業部門毎のBSとROICデータの整備を求め、社外取締役は事業ポートフォリオ検討に積極的関与すべきだと論じている。https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200731003/20200731003.html
ポートフォリオを決めるのは
会社におけるポートフォリオをどうするかは、CEOやCOOなど経営トップの高度な判断だが、会社の種類が、委員会設置会社か、日本的な監査役設置会社か、取締役の在り方で異なるだろう。
モノ言う株主、コングロマリットディスカウント
最近、サードポイント等、モノ言う株主が事業売却などポートフォリオに意見を言うケースが増えているが、海外投資家や金融業界からの要請もあるのだろう。まさに、社外取締役が、そういうモノ言う株主の意見なども踏まえ、執行サイドと議論することになるのだろう。
これで、M&Aも増え、カーライルが参入するのもわかる。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62558210S0A810C2MM8000/
ポートフォリオ理論は難しい
ポートフォリオというのは、ファンドの概念だが、個々のB/Sを作成し、資本コストを計算できても、全体のポートフォリオをリスクとリターン、シナジー効果などを考慮して、管理するのは、それこそ、三体問題どころか多体問題であり、VAR等それなりにリスク管理ソフトもあるが、実際は、大変難しい。
アナリスト時代から、ファンド時代も長年、研究してきたが、理論研究も殆どない。それで、経営重心理論を開発したのだが、これも電機業界を長年見てきたからだ。広い業種、さらにビジネスモデルも含め、評価するのは大変だろう。
それ以上に、個々の事業への精通、事業経験、シナジー効果の見極めが重要であり、あるいは、リスクとリターンでの、現場感覚、運用経験なども必要であろう。