情報の非対称性が無くなる中での価値提供とは

社会人、その道ではプロを相手では、既に情報の非対称性はないが、20歳前後の学生相手の学部でも、オンライン授業が主流になり、YouTubeなどで世界の講義を視聴できるようになれば、徐々に、情報ギャップは無くなっていくだろう。特に、社会科学や人文科学では、閉ざされた空間で小難しい理論を、選択肢がなく決められた教授から難しく教えられている(資本論等も、要は訳が下手なだけではないか)とのは違って、世界の一流大学から楽しいく明快に教わると、「秘すれば花」の花伝書を思い出す。

そういう意識があるからかどうかは不明だが、学部の教授から、「ネット社会で情報ギャップが無くなるとコンサルタントはどうして付加価値をつけるのか、またコンサルの結果、間違ったらどうするのか」と聞かれた。MBA理論もどんどんコモディティ化してくると、高級人材派遣業化しつつあり、あるいは、案件に関し共同出資により結果責任を問われるケースが増えているようだ。

こういった現象は、アナリスト業界では、90年代後半には、フェア―ディスクロージャ、IRの登場で起きており、企業からの情報を独占できなくなり、有名社長セッティング、工場見学ツアー、セミナー屋など、投資家サービス業してしまった。もちろん、企業側の話を伝えているだけでは付加価値はゼロどころかノイズがのればマイナスだ。しかし、それなりに分析し、更に同業他社と比較、類似のケース、海外、業界動向等を提供すれば、企業側も参考になり、もちろん、投資家も参考になり、付加価値はある。企業内でも、全役員に取材し、全工場を見学する等、30回以上の1時間程度のINPUTがあれば、社長でも気が付かない情報価値もあるだろう。投資家からの見方を集約して、会社側との見方と比較分析もある。さらに、長期に亘ってフォローすれば、就任早々の役員よりは詳しい面も出てくるだろう。そういう多くの取材や分析から、独自の理論や切り口が見つかり、それで、明快に分析すれば、付加価値は大きいだろう。

つまり、ネット社会でも、常に新鮮な先端の情報を入手し、比較・組み合せ、独自の切り口で分析すれば、十分に差別化できる。往々にして、情報の価値は個別性があり、貿易と同様、ある相手からタダ同然で得られる情報が、ある相手には貴重であり、こうした情報の出し手と貰い手をマッチングすることでも、付加価値は出せる。