世界最高峰の経営教室を読んで

日経BPから、この10月に出た「世界最高峰の経営教室」を読んだ。MOTでもお世話になった、MIT教授のクスマノ先生も登場、理科大MOTについても言及している。その他、海外の有名な経営学の学者17名が登場、日経BP副編集長だった著者との対談や最新の研究成果などが紹介されており興味深い。

 具体的には、5Fで有名なマイケル・ポーター、最近、「両利きに経営」で注目のチャールズ・オライリー、オープンイノベーションで有名なヘンリー・チェスブロー、マーケティングの神様のフィリップ・コトラー、AIのマイケル・オズボーン、ヘンリー・ミンツバーグと豪華であり、経営学の基本をおさらいすると同時に、最新のアカデミックの潮流を展望できる。注目すべきは、日本国内のマスコミやアカデミック等の論調と必ずしも同じではないということだろう。

 

 今回、はっとしたのは、MITポーゼン上級講師のステークホルダー論、ESGに関して、深い洞察をされ、日米が両極端であることを指摘している。オックスフォード大のメイヤー教授は、パーパス経営に関連して、企業目的は社会課題を解決しながら稼ぐことだと指摘、フリードマンを批判、英アンケートで、ビジネスリーダの世間の信頼度が低い(他にも、政治家、広告会社、ジャーナリスト、不動産、銀行員、寄付団体幹部、労組幹部、キャスター、僧侶)ことを指摘、日本が世間を向いており、株式持ち合いは悪くない、等と述べている。さらに、終章のミンツバーグ教授の資本主義論、MBA批判は強烈だが、驚くべきことに、日本を評価している。メイヤー教授、ミンツバーグ教授は、米では企業が業績を伸ばしたが、国民は不幸で分断された、他方、日本では企業業績は停滞だが、国民はそうではない、と見ているのである。