品証とデジタルツイン、そして現場軽視と現場劣化

最近の製造現場での不正検査問題に関連して、論考する。検査には、全数か抜き取りか、検査項目の種類と方法、多さが、コストや実効性の見合いで鍵になる。

まず、設計から製造、検査の流れは、一般的には下記のようだろう。ここでは、簡単のため、機械部品などをイメージしている。まず、顧客要求とサプライヤが自社の技術やアイデアも踏まえ、対話し、仕様に落とす。それを、設計者が図面化(ソフト等ではフローチャート等も含め)、さらに、図面(較差情報も含め)を工場で加工し、ワークとなる。

 

 

学生時代に、設計の授業で、作れない図面を作成して、教官に怒られた。実際に、旋盤等で加工実習により、図面とワークの関係、はめ合いや精度寸法を体感、設計能力を改善したものだ。こうした訓練により、図面の注釈や、精度などの意味を機能との関係で考え、自問したものだ。しかし、最近、トヨタさえも、加工できない図面を設計する技術者が増えており、図面品質の劣化が大きく、加工メーカーが嘆いているようだ。

部品が造れなくなる日 「図面品質の劣化」がトヨタにまで | 日経クロステック(xTECH (nikkei.com)

 

 最近、多発する不正検査問題の深因は、トップや社外取締役の現場軽視、あるいは、そもそも、現場に関する常識不足であり、紙だけの形式な作文で済まそうという傾向による、現場力の劣化である。これは、トヨタの図面品質劣化と同根である。

 

 以前、2017年頃、数多くの有名企業で社取を歴任されている有名な冨山和彦氏と、WICIのセミナーで、現場力に関し、論争した。