製品の輪廻転生とLTVとLCV

 価値とは、関係者との関係で決まるものであり、私の価値も、頭脳の価値なのか、肉体の価値なのか、等で異なる。家族にとっては、愛情もあるが、稼いでナンボであり、学生にとっては、教えてもらってナンボ、ファンドマネージャーになれば株のリターンの稼ぎだけ、税務署は給料と財産だけだ。これが、アフリカでのライオンだと、肉塊だけであり、グラム幾らの話であり、アインシュタインも私も変わらない(人食い人種では、多少、その人間の勇気などストーリーも加わる)。つまり、価値空間の中で、関係者の価値基準に対し、単位も決まる。

 地球環境問題に絡んで、EVその他のリサイクルやリユースも、価値に関する重要なテーマであり、こちらも、事例が増えている。

 LTV(Life Time Value) 「顧客生涯価値」という、マーケティングのキーワードがあり、顧客から生涯に渡って得られる利益のことであり、LTV=購買単価×購買頻度×契約期間で計算され、ソフトなどで使われる。この概念は、むしろ短期であり、売る側から顧客に対する視点である。

 これに対し、工学とくに設計論では、以前から、ライフサイクルLC(Life Cycle)工学という分野があり、リサイクル性やメンテナンスによる寿命向上などを加味した設計理論である。

つまり、ここでは、売り手と買い手というより、製品を主人公として、価値を最大化するような発想である。リサイクルやリユースでは、常に売り手と買い手は変わり、その価値感も転換していく。

 

 それゆえ、LTVに代わる、LCV(Life Cycle Value)のような概念が広まることが、地球環境のためにもなり、日本の「もったいない」という発想、モノにも神や心を想像できる精神にもマッチする。