教育重心~MOTと他学部のシナジーとアナジー

現在、わがMOT、技術経営専攻は、組織上は、経営学研究科の中に、経営学専攻と並んである。技術経営専攻は、専門職大学院であり、経営学専攻は通常の研究大学院であり、設置根拠となる法律も目的も異なり、科目時間数や教員組織に対する基準も別である。かつて2017年までは、イノベーション研究科の中に、同じ専門職大学院の技術経営専攻(MOT)と知財専攻(MIP)があったが、再編で、MIP2016年に廃止、MOTは新しく再編された。かつて、非常勤講師時代3年、2017年は教授として、1年だけだったが、イノベーション研究科の方が、組織運営は遥かに楽だった。

 目的も設置基準も異なるが、「経営」というキーワードがあり、それで一番近そうな経営学研究科の傘下となったのだろう。全学では、理工学部/理工学研究科に経営工学科/経営工学専攻があった、「遠い」と判断されたのだろう。

 そこで、経営重心の考えを発展させ、教育重心という概念から、どの研究科が近いのか考察する。ここで、5W1Hのアプローチで、知識やカリキュラムというWhatだけでなく、他も重要だ。

 まず、Whatだが、実は、そもそも、経営学と経営は異なる。これは、経営学者すら吐露表明している。もちろん、実際の経営から経営学の理論が生まれ、それが、経営には役に立つが、同一ではない。これは、自然科学の状況と異なる。さらに、経営学と技術経営も重なりはあるが、異なる。MBAでも、もちろん経営学も教えるが、それだけではない。さらに、WhyWhoでは全く異なり、それゆえ、Where(ここでは、教室の形態とした)Howも全く異なる。Whenは、対象年齢や授業が昼化夜か期間などもあるが、これもわがMOTは全く異なる。この5W1Hを、どうウェイト付けするかの問題はあるが、ここでは共通項の多さで距離とすると次表になる。

 表で5W1H6項目で、重なる場合をカウント、その割合で近さを表している。例えば、3つ共通項目があれば、3/60.5であり、0~1の値となる。

 理工学とMBAが最も遠いのは、分かり易いが、研究MOTと、ビジネススクールとしてのMOTでは、近さは0.5であり、むしろ理工学が近い。MBAと経営学研究科、MOTMBAがそれぞれ。0.5であるが、そんなところではないか。ここでは、MOTと経営学研究科は0.17と遠い。これが、我々の実感である。理工学でも建築や新領域等は、MOTと近いかもしれない。この5W1Hのウェイト付けを最適化すれば、もっと的確に距離(近さ遠さ)を定量化できるだろう。

 これは、企業のM&Aやリストラでの組織再編でも同じである。こうした5W1Hの他に、下記のような要素も入れ、距離を測れば、上辺の名称でない中身の適合した組織再編が可能だろう。

 こうした距離(組織や事業分野の近さ遠さ)の要素は様々であり、多くは共通項目をカウントするしかない。しかし、それをいかに、ウェイト付けし、カウントするかが難しい。経営重心は、こうした多くの要素のうち、最も重要な固有周期と固有桁数という客観的に定量化が可能な二つの軸で、距離さらには事業ドメインの広さやバランスを分析できるのである。

 

 別の言い方をすれば、人はマズローの5段階などを簡略化すると、気質や体質の上に人柄があり、その上に人格がある。これは企業では、文化や風土と経営理念の間の、企業の人柄や気質に近いところが、経営重心である。