半導体政策の二つのベクトル二軸

半導体政策に、①経産省「半デジ」会議、②JEITA半導体部会、③経産省総務省「データセンタ等インフラ整備」会議、④NEDO技術審査、⑤その他、などの複数の立場で絡んでいるが、意見や方向性が微妙に異なり、俯瞰的にベクトル合わせをすることが大変である。

 まず、半導体業界のためか、ユーザーのためか、という軸があり、もう一つ、技術の方向性として、More Mooreか、More than Mooreか、という軸がある。これまでの政策は、日本だけでなく、海外でも、業界のため、かつ More Mooreであり、わかりやすかった。しかし、技術の軸として、新たに、More than Mooreの軸、チップレットに代表されるパッケージ後工程など多様な技術や、パワー半導体の技術もある。また、半導体が産業のコメから社会のコメ、国家安全保障の上でも重要な存在になる中で、業界のためだけでなく、ユーザーや社会のためになる。

 今回もTSMC誘致はユーザーのためという側面もあり、ビオンド2nmもその意味合いが濃い。つくばの3Dパッケージは、More than Mooreであり、半導体でもデバイスというよりは材料やOSAT系が主体である。業界かユーザーか、More MooreMore than Mooreか、といった二項対立でなく、両方をバランスよくダイナミックに追い求めるべきだろう。それらは、やがて融合していくからである。