ロームの赤字の意味

ロームが118日に発表した決算は、通期が営業赤字に下方修正という厳しいものであった。売上は48004500億円、OP140→-150億円に下方修正。ただ、EBITDA1067742億円と黒字を維持。同社の営業赤字は2012年度の赤字9億円以来であり、1990年頃からウォッチしているが、珍しい。年間のセグメント別損益、アプリケーション別損益の修正内容は開示されていないが上期実績は産機が厳しく、セグメントはSiC含む半導体素子が売上1020972億円、OP130→-104億円と売上減よりOP減が大きく、SiCの立上げロス等と推測される。株主・投資家情報 ローム株式会社 - ROHM Semiconductor

 シリコンサイクルはメモリとアナログパワーで2年程のタイムラグがある。メモリは底打ちから急回復、アナログパワーは底である。ルネサス、日清紡マイクロデバイスやトレックス等も下方修正である。

 日経では生みの苦しみとコメントしている。EVに賭けたローム、「高収益」復活前の苦しみ - 日本済新聞

 

この10年でロームは京大と提携する等、SiCの技術力を高めてきたことは事実であろう。90年代に部品から半導体に転換し揶揄されたが、高須氏がR&Dを、疋田氏が事業を推進、沖電気カリスマオーナーの佐藤氏の元、国内で有数の半導体メーカーとなった。2008年には、沖電気から半導体部門を買収したことも、技術力を厚くした。SiCでは、2009年にSiクリスタルをシーメンスから買収し、ウェハー供給に先手を打った。赤字が続いたが今それが効いている。