地経学とハーシュマン~米は関税と金融vs欧州は規制

日経新聞、NHKはじめ、どのマスコミも専門誌も、どの有識者も、トランプの関税を全面的に否定しており、トランプの知性を馬鹿にしている。トランプもペンシルバニアのウォートンMBAを出ており、側近も経済や金融に詳しい方もおる筈で、「一寸の虫にも五分の魂」ではないが普通は両論併記すべきで、日本のマスコミのあり方が残念である。

その中で、日経ではあるが、FTの記事は流石だと思った。地経学の視点から論じたもので、今の経済学とは前提が異なるようだ。[FT]トランプ重商主義に慣れよ 貿易は支配力強化の手段 - 日本経済新聞

ハーシュマンがまだ生きていて、2日の関税戦略の発表を見ていたとしても、彼は驚かなかっただろう。新自由主義者たちはしばしば政治を経済の派生物だとみなす。一方、ハーシュマンの見方はこれとは逆で、「主権国家が、自らの意志でどの国との貿易も中断できる限り、国力向上を巡る争いは貿易関係に広く影響を及ぼす」と主張した。そして彼は、アデルマン氏が言うように、「貿易とは(中略)、弱い立場にある貿易相手国を従属させるのに『征服』を必要としない帝国主義の一形態」だとみていた。トランプ氏の顧問たちの経済に対する解釈はこれに近いと言える。しかし、これは古典派経済学者であるアダム・スミスやデビッド・リカードの貿易に対する見方とは大きく異なる(彼らは、ほぼ対等な力を持つ国家間の取引を前提としていた)「地経学」で読み解くトランプ関税 貿易は従属させる手段(FT) - 日本経済新聞

すまわち、多くの経済学者は、「貿易=ほぼ対等な力を持つ国家間の取引を前提」であり、有識者、マスコミは、故にトランプを否定する。

 これに対し、ハーシュマンや地経学者とトランプは。「貿易=弱い立場にある貿易相手国を従属させるのに『征服』を必要としない『帝国主義』の一形態」なのである。

 

 つまり、貿易も金融も帝国主義のツールであり、米も形を変えた新たな帝国主義を続け、それは、軍事そのものから軍事をベースにした政治力、貿易、金融になっていることを認識し理解することが必要ではないか。これに対し、欧州のツールは規制ルールであり、最近も炭素繊維でELV指令を出した。これに対し、日本の地経学ツールは何であろうか、技術なのか平和中立なのか、文化なのか。