自由でフラットな金融市場で良いか~アクティビストと国家安全保障

90年代からの世界のフラット化の流れの中で、自由貿易も進み、それは、金融市場も同様であった。時価総額拡大のため、海外投資家、アクティビストであれ、中国であれ、日本株に投資してもらおうという動きは、小泉政権で加速化し、村上ファンドなどアクティビストの課題はあったが、変わらなかった。さらに、伊藤レポートの中で、金融庁主導で進められた。しかし、米中摩擦の中で、機微な国家安全保障に関わる技術を持つ企業については、外為法を改訂して対応した。そして、トランプ2.0による関税強化で貿易について自由は制限された。しかし金融市場はまだ自由でフラットである。米はCFIUSで制限をかけているが、JSRなど、日本はMBOで対応する例が出始めた。今後は、貿易市場、金融市場について、国家安全保障の視点、経済メリット、投資家や国民雇用など目線から、フラット度合、自由度合について再考する必要がある。

 縦軸に時価総額、横軸に国家安全保障の重要性(すなわちハイテク保有がある価値ある企業)をとると、おおよそ4象限であり、本来は左下から右上に相関し、左上は課題評価だが、それを利用してM&A、右上は更なる価値向上、左下は経済的視点から手を打つべきである。