日本の大企業の新規事業が、よく言われる「0→1」ではなく、「-1→0→1」であることを自身の経験や多くの実例から示し、MOT教育でも取り込み、社会人学生や企業トップの共感を頂き好評であった。全くのスタートアップなら、0からのスタートでそれしかないが、大企業であれば、過去に失敗した人々の恨みや妬みに加え、既存事業部門の横やりもある。人事評価やリソース配分も難しくなる。産業界全体でもそうだ。ラピダスでも、大変なのは、過去に頑張ったが政府からの支援も少なく頓挫した方々の様々な思いである。経験者であり専門家であるが故に、意見はネガティブで批判的になる。新たなリスクがある挑戦をロジカルに否定することは簡単である。しかし、ラピダスのように、日本で新たなイノベーションを起こす際に、-1からとなる背景はむしろ、恨みや妬みより、法律かもしれない。
過去に、様々な技術が実用化する際の条件をリサーチしたことがあり、4つの壁、科学の壁、技術の壁、経済の壁、社会の壁、で説明した。科学の壁や技術の壁は純粋に専門家の話である。アカデミアや研究所の人間が評価すればいい。経済の壁はコストやスケーリングであり、KPIが明確で、事業部門が評価する。難しいのは、社会の壁であり、標準化や文化や制度が大きな壁になる。このアプローチでは、それほど、法律、行政法を意識しなかったが、まさに、それが最大の壁であり、ドローン実用化で中国等との差異である。「官民共創のイノベーション」はまさにこの問題を取り上げ、サンドボックスというアプローチで成功している。似た話題が元リクルートの方による「企業不祥事」である。法律やルールが古く既得権益を守る意識があるため、善意が犯罪になったりする。科研費問題やリクルートもその面がある。ずるい、派手で目立つ、古い社会勢力との軋轢が、イノベーションの芽を潰すこともある。
