2016年2月1日 リコーの決算説明会の印象記

 

リコーの3Q決算説明会に出た。四半期では瀬川CFO、上期や下期は三浦社長であることが多い。コピー事業について地域別に数量、価格動向、コスト、為替動向等も含め分析された説明と、同様の細かな質問が多く、関心は今期が達成できそうかどうか、が大半を占める。過去に、何度も下方修正があり、アナリストの信用がないようで、それを会社側が何とか解ってもらおうという対応である。

 

 セルサイド時代は、研究所のほか、主力でない半導体や液晶関係で、10回に満たない程度、訪問したのと後輩についていった程度である。友人や知人は多く、雰囲気や風土は聞くが、全体像を分析したのは、ファンド時代であり、年に数回だから、累計で20回以下だろう。それゆえ、リコーについては、精密業界の中でも、理解はしていないし、自身のビューがない。キヤノンも取材回数はそう多くはないが、ビューやオピニオンはある。それが違いである。コピー事業周りが中心なので、やろうと思えば分析できるが、なぜ分からない。説明会でも、話題が、イノベーションやダイナムズムに欠け、コストダウンや販売動向の話が多いのが理由かもしれない。それが今のアナリストにとっては分析しやすく人気かもしれない。

 

話題は、コストダウンと上ブレ下ブレ、M&A

 

誤解かもしれないが、いわば、成熟した市場の中で、コストダウンとM&A位しか、利益成長がなく、実際、質疑や話題も、そういう細々とした確認で、それが逆に全貌をわからなくしているのかもしれない。それが、戦前、あの理研を祖とする会社とか思えないが、もう少し、会社側も、アナリスト側も、中長期の会社のあるべき姿について、議論する場をつくるべきではないか、と思う。前社長の経営説明会は、社長というよりも学者か中央研究所長がするような、話が多かった印象だ。それが原因か不明だが業績悪化、当時CFOだった今の三浦社長になってからは、その反動のような現実的な説明会となった。そろそろ中長期を語るときではないだろうか。

 

今期業績は達成だがコストダウンが一巡すれば横這い圏か

業績は、何とか、計画を維持しようという印象で、3Q累計では、売上1.64兆円、OP854億円、NP514億円、3Qだけでは、売上5486億円、OP293億円、NP168億円。通期は売上2.32.55兆円だが、OP1160億円、NP710億円は死守しそうだ。FCFはファイナンスを除けば500億円、入れれば-100億円の模様。

 

 

 

 

半導体などの産業分野のデバイスの将来像は不明

 

しかし、そうした説明にせよ、M&Aにしろ、新規注力分野にせよ、他の精密メーカーでも聞いたような話が多い。かつての総合電機のようである。そういう中で、場違い想定外の質問をした。プレゼン資料に半導体、電源ICがクルマ向けに好調であるとあったが、半導体も含めたデバイス事業の将来像が不明だからだ。OA機器が主の中で、社内シナジーもなく、需要が強く、供給不足でも設備投資ができない事業をどうするか、である。まさに、総合電機の中の半導体や液晶など新規事業と同じである。回答は、ニッチ分野で強く、需要が強いので当面は問題ない、ということであったが、本来は、そういう時にこそ、次を考えるべきだろう。何も事業売却ありきではないが、新規として強くするなら、それなりの先行投資が必要だろう。どんどん、事業売却とM&Aで、OA周辺へ求心力が大きくなる中で、経営重心が離れた事業の扱いに配慮すべきだろう。