2016年2月2日 横河電機の不思議

 

横河電機の3Q決算説明会に半年ぶりに参加した。なかなか決算集中日が多で重なることが多いが、特に今回は石油価格下落、新興国経済混乱の中で、どういう状況にあるかに関心があったので最優先して出席した。出席者多数。質疑も多いが、足元の細かな数%単位の数字の確認が多く、多くのアナリストは、この会社の本質を捉えていないのではないか。会社側は、鈴木CFOIRの川中氏、小林氏。上期と通期は、社長も出席、中長期の戦略や、その時々で重要なトピックスを解説してくれるので勉強になる。

 

長年フォローしてきたが

 

 横河電機はNRI時代に、アナリスト駆け出しの頃、80年代の終わりから90年代前半に担当していて、レポートも書いた。当時は地味な制御計測メーカーで、産業電機チームで若手の担当だったが、担当を後輩に譲ってから、テスターの安藤電機を買収するなど、派手な多角化もあり、半導体装置関連株という位置づけとなった。その後、多角化の後始末とリストラを経て、本業の制御計測に再フォーカスし、三菱電機やオムロン同様、機械関連株としても認識されている。ファンド時代は、ちょうど、その転換点であり、興味深い時期でもあり、継続的にフォローした。累積Input50100だろう。

 

計測制御メーカーだけあって技術を重視する一方で、プラント・エンジニアリング会社との付き合いもあり、社長やIRに有名なラガーマンがいたためパワフルな営業が強い印象もある。また、早くからGEHPといった海外一流企業と提携したせいか国際的で、吉祥寺というお洒落な町に本社があるせいかスマートでハイソな感じもするが、その実、総合電機的経営・日本的経営的な内面もあるように感じる。

 

安藤電機の吸収は結果的には失敗だったが、その真因は腑に落ちて分析できてないが、経営重心®の差が大きいように思う。ITバブル後は何かがおかしかった。これは今後の課題である。同社は2015年で100周年であり、80年代の北辰との合併、HPGEとの提携の頃から、その1/330年くらいフォローしてきたが、大きく変化した会社の一つであろう。

 

もともと90年代IRが無い頃からファミリアな会社であったが、ファンド時代に驚いたのはIRの大幅向上であった。ガバナンスにも熱心であり、中計で詳しく示してある。説明会やIR開示、中でもHPは、過去の説明会が視聴でき、あまり例がなく素晴らしい。資料も、通期だけでなく、四半期毎に数字を示し、今回でいえば、残りの4Qを明示してあるので助かる。

 

さらに今後、期待したいのは工場見学会、商品説明会、研究所見学会などである。

 

業績は足元堅調

 

業績3Q累計で受注3171億円、売上3013億円、OP305億円、NP140億円。3Qも受注1004億円、売上997億円、OP100億円。通期の受注4410億円、売上4270億円は不変だが、OP360390億円、NP230280億円は上方修正。なお差し引き4Qは受注1229億円、売上1257億円、OP85億円は十分に達成可能だろう。

 

新興国不安や原油安の中で、多少とも受注など影響があるかと思ったが堅調であり、意外にも、日本だけでなく、中東もいいようだ。FA系やプラント系とも真逆。もちろん、先行きリスクは、会社側は十二分に認識はしており、業績がいい間に、固定費削減などに努めている。これが、タイムラグで、後で来るのか、メンテナンス等でカバーしているのか、石油プラントは一部なので大丈夫なのかは不明である。不思議なことに、足元はアップストリームが増加、原油価格下落の中でジョブもとれている。新規は容易ではないが、メンテなどが堅調。