2016年2月4日 シャープの説明会と再建案 

 

18時~19時で投資家アナリスト向け説明会。ほぼ満員。高橋社長、榊原氏など説明。業績修正はなく、昼過ぎにNHK等から「鴻海案の方向か」との報道を受け、再建案の質問が多い。なお、NHKほか、日経新聞報道でも、これまでの、「INCJで決まり」から「鴻海案」の方向で報道。シャープ側は、2社に絞って検討、1ヶ月内に決定と開示。報道コメントでは、高橋社長の「鴻海との話によりリソースを割いている」や、周辺取材から、その方向性のようだ。

 

 業績3Qは売上6633億円、OP赤字38億円、NP-25億円と意外と健闘。通期は不変、売上2.7兆円、OP100億円だが、4QOP130億円は、景気減速の中で大変だろう。セグメント別には、家電が160200億円と上方修正、TV黒字化、エネルギーは、ポリシリコン評価損で30-70億円、ビジネスは360380億円。液晶は、107億円の赤字で、大型が厳しいくK2TVは稼働停止、その他も稼働調整で損失計上。なお、サプライズは、K2の中小型高精細化の投資で、アップルの意向・資金か、鴻海ありきでの設備投資かは不明。

 

 12月末の在庫は、LCDパネルで1300億円を3月末に1000億円目標、全体は3000億円を2600億円。これまでのように在庫は増えてはいないが、12月末では減ってもいない。電子デバイスのカメラモジュールが懸念だが、センサーや暗視カメラなどで補う。

 

 鴻海案とINCJ案の得失については、INCJの場合は、JDIと統合なので、技術シナジーがあり、鴻海の場合には、後工程や組立、調達力の利点が大きい。また、もともとは、液晶だけの再建だったが、現在は、両社とも、シャープ一体の案であり、歓迎。セット系は、商品力があるが、財務が厳しいので先行投資できないが、4カンパニーの一体運営が鍵になりプラスが大きいことを両社が認めてくれている。それぞれのリスクや不安は特に言及なし。また、一部、INCJ案、一部、鴻海案というのは無いとした。また、セット系とLCDの事業の差を経営重心®的観点から強調。

 

 さらに、鴻海との文化の差について、「確かに違うが、シャープの社員も、むしろ鴻海の荒っぽい経営を体験した方がいい」と社長がコメント。また、技術流出も、堺から、鴻海以外の中国や韓国の企業に流出していないと強調、もちろんライセンスで、既にパンダや、旧クォンタ(現、鴻海傘下のイノラックス)に供与したことはある。さらに、堺も経営は変わり、黒字化したが、オペレーションはシャープの社員であり、鴻海案の場合、現場のオペレーションや、セット系などはシャープの自主性に任せてくれそうだとコメントした。

 

 すでに出ている報道や、この高橋社長のコメントなどからも、鴻海と見ていいだろう。もちろん、社外役員その他への説明や、詳細な契約もあり、時間は1か月程度かかるのだろうが、方向性は当然だろう。

 

 銀行側も、不良債権回収でき、ありがたいはずだし、労組も、鴻海案の方が雇用維持約束なので、そっちを支持するだろう。当局や、INCJもやむなしと判断したのだろう。経営陣がそのまま残るというのは違和感もあるが、前任者の後始末で主導権も力量を発揮できないまま、無能経営者の烙印を押され終わるというよりは、最後のチャンスを欲しいのだろう。セット系の事業トップでは、可能性があるかもしれない。鴻海による再建でシャープがそのままで、かつての輝きを取り戻せば、いいモデルケースになり 日本全体にもプラスだろう。海外マネーも再び日本に向かうだろう。