2016年2月8日 ジャパンディスプレイの3Q決算説明会

 

説明会17-18時に参加、本間CEO、有賀CFO、吉田CFOが説明。質疑も多いが、業績動向や、OLED対策が多く、質問は、投資家アナリスト限定のせいか、シャープ再建の話題は、聞いても仕方がないせいか少なかった。

 

足元厳しいが4Qこの程度の赤字なら上出来、素早い対応は評価

 

 業績3Qは、売上31003050億円、OP130133億円、NP47億円は、想定線。Dep214203億円は11月からのスマホ需要の急減速に早いブレーキ、R&D6339億円は、OLED化対応で絞り込みと評価される。このため、4Qは売上1902億円と4割減、OP赤字19億と厳しい中でも、Dep203億円、R&D75億円へ増額、うち30億円はOLED関連。この素早い対応は評価される。2Q3Qで、売上増433億円、OP50億円増だが、売価ミックス78億円減、原価57億円増、固定費64億円減と説明だが、買掛金増加にもあるように、北米ユーザー中心に購入部材が増えているため、原価増がq/q417億円もあり、限界利益増は少ない中で、むしろ健闘。買掛増は期末タイミングや社内管理努力もあるようだ。

 

 北米向けスマホ売上が、2Qの約1400億円から3Qの約2200億円に急増だが、数量増は10%程度であり、大半がASP3040$から5060$にアップだが、差額の1020$分の大半が部材費であり、限界粗利額は変わらないし、限界利益率は悪化。3Q4Qは、北米向けスマホは約2200億円から約1300億円に急減だが、同限界利益は同様で、数量減40%が中心だろう。この他、中国が2Qの約600億円から3Q350億円へ急減。質疑でも、減収1100億円に対応する利益減は200億円と説明。原価低減50億円であり、差引150億円が実態の限界利益減で、限界利益率は10%強という程度だろう。

 

12月末の在庫は1200億円、35日だが、4Qの売上急減のため、単純に計算すれば50日を超える。35日を適正と仮定して、春先の新製品を慎重に考えるなら、在庫は800億円以下にする必要があり、稼働率は売上減以上で30%稼働が適当となり、かなり厳しい。本間CFOの説明で、損益分岐点稼働率を1Q89%から、2Q78%3Q75%4Q62%と急激に下げており、この効果がなければ、3QOP赤字42億円、4Q赤字207億円の試算はその通りだろう。しかし、足元の調整は、それ以上に厳しいから、この損益分岐点稼働率引き下げがあっても、実態の稼働率から考えると、生産調整と稼働損で200億円減、R&D増数十億円で、OP赤字100億円程度だろう。北米スマホは限界利益減よりも中国向けハイエンドやPEインセルは値下がりがあれば、更に赤字は拡大しよう。

 

旧正月明けに奇跡的に需要が回復して3月末の在庫を積み増すような状況なら別だが、LTから考えて、そこからアクセルをかけても間に合わない。むしろ、焦って値下げをしないことが肝要だ。