2016年3月12日 新日本無線グループ工場見学記~佐賀エレクトロニックス(後工程)

 

3月上旬に、新日本無線グループの生産拠点を見学した。佐賀エレクトロニックスは、タイと並ぶ同グループの後工程主力工場であり、NJR福岡は、元々は、三菱電機のアナログパワー系の半導体工場であったが、譲渡され、川越工場や海外ファンドリと共に前工程を担う。もはや、日本にある後工程は外資OSATであり、国内系は殆ど無い。また一般でも後工程の見学会は珍しいのではないか。この佐賀エレクトロニックスでは、私以外、アナリストの見学はないようだ。佐賀は13年ぶり、福岡は5年ぶりである。

 

新日本無線も、半導体業界も、この10年で経営危機の次期を挟んで大きく変わった。それゆえ、この期間で工場や生産現場がどう変わったか、また、前工程は統合・合従連衡、後工程はOSATの売却という中で、後工程の合従連衡の可能性についても、日本のモノ作りの在り方を突き詰めるため、偏見無しで考えてみたい。

 

佐賀エレクトロニックス

 

 当日は、佐賀空港もあるが便数が少ないので、福岡空港からクルマで工場入り、12時に到着。挨拶の後、工場内にある体育館にもなる(地元に貸すこともある)建屋のレストランでシェフの地元の名産を生かしたランチ。なお、川越工場も来賓では、同様に工場に入っている店のシェフが工夫を凝らした弁当が出る。3F建ての生産棟など主要な建屋は同じだが女子寮が無くなったりして多少の変化もある。なお、無事故が1000日をこえ、記録更新中のようだ。13時~14時半で会社紹介、14時半~16時半が工場見学で一部クリーンルームに入り、16時半~17時過ぎ質疑というスケジュールであった。

 

社名の佐賀エレクトロニックスのエレクトロニクスは当時のトップが発音から決めたようだ。

 

 

 会社は1965年設立、50周年を過ぎた。新日本無線の100%子会社、HPによると2014年度の売上52億円、従業員267人。人員は、兄弟会社で共に後工程を担うタイ子会社や、本社と入りくりがあり、派遣も含め実態350人規模。本社所在地は東京となっている。経営理念は「一灯照隅、万灯遍照」である。

 

佐賀エレの主力製品は高品質を求められる車載部品バーンイン対応品が多く、PCUEPSADASなどに対応している。更に兄弟会社であるタイNJRへの品質向上、生産性向上などの支援もしている。本社の新日本無線と共同して新パーケージの開発なども手掛けている。

 

3Dプリンタで作成の建屋やチップの模型での説明が分かり易い

 

 概要説明は、林社長からだが、感心したのは、3Dプリンタで、建屋のクリーンルーム内の配置がわかる模型で説明されたこと。1Fから3Fまで立体的に理解できる。紙での配置図はあり、外観図は工場入り口に飾ってあるが、プラモデルで内部まで見られるのは初めてである。

 

さらに、塩粒ほどの大きさのSAWデバイス等のチップの三次元の内部構造も、3Dプリンタで作成したプラモデルを見て触ることで、中空構造やハンダの入れ方の難しさがよく分かった。

 

通常、工場見学での説明は、モノ作り、中でも「カイゼン」活動などが主となるが、今回は、むしろ製品説明に力点が置かれた点が興味深かった。