2016年5月11日  ブイ・テクノロジー(Vテク)の決算説明会~OLED躍進の背景にある根っこの力

 

ブイ・テクノロジー(以下、Vテク)の決算説明会が51115時からあり、杉本社長のプレゼンだけきき、質疑の前に、1545分くらいに退席した。説明会に出たのは、かなり久しぶりである。参加人数は、なかなか多い。

 

Vテクは、以前からFPDの調査を通じてお付き合いがあり、JPモルガン時代にはマザーズIPO幹事をさせて頂いたこともある会社である。直接の担当ではないが、何度か御邪魔し、直近ではファインテックジャパンの展示場でもOLEDについて話を聞いたこともあり、説明会に参加した。ただ、なぜか、前職のファンド時代では、ご縁が無かった。杉本社長は久しぶりだったが相変わらず元気であった。IPO幹事で御縁があった会社が、クリスタルサイクルを乗り越え成長しているのは有り難いことだ。

 

 なお、決算は510日に発表済みであるが、決算概況に先立ち、41日のOHTの子会社化について説明、その後、決算について、そして、OLED含めてFPD業界動向、最後に企業理念や幹部の紹介という流れであった。

 

OHT子会社化

 

 VテクもFPD関連の検査という意味では同様だが、OHTは、LCDTFT等の配線の電気検査メーカーである。Vテクは画像とレーザーであり、シナジー効果が大きい。

決算好調で受注残が急増

 

 決算は売上392億円、OP26億円、NP10億円弱。1台の単価が大きくなり、期末に入るかどうかでかなり売上が異なる。地域別には中国、韓国が増え、日本もいいようだ。韓国はOLEDだけでなく、ディスプレイの中国シフトもある。分野別には露光機が増えている。

 

OLED関連メーカーでは受注に追いつかず断っているところがあるが、同社は、いろいろ工夫をして3ヶ月で140億円も納入した。その代わり、前受金を貰う。受注は、買収したNSK子会社のCF装置が好調で600億円、受注残は420億円まで積み上がっている。ただ、今期には全部計上できず来期もある。

 

今期見通しは、売上450億円、OP40億円、NP19億円であるが、実態は500億円以上の売上も可能なようだ。

 

シャープのOLED実験ライン投資推定

 

なお、サークルクロス総研では、FHM、レーザー関連は、シャープのOLED投資2000億円のなかの実験ラインの200億円(クリーンルーム除く)のマスク蒸着装置、PI基盤製造装置、カプセル化装置などの一部だろう。まだ評価機でG4.5ハーフ。キヤノントッキなど有機蒸着全体で100億円と推定、マスク蒸着製造装置20億円、PI基板製造装置10億円、カプセル化装置40億円などと推定している。

 

 

FPD業界見通し

 

 同社によれば2019年までは高水準が続くのと見方。従来から、ディスプレイのフレキ化には注力しており、ファイテックジャパン展示でも報告したが、①4k級の738ppiFHM、②局所レーザーアニール、③レーザーリフトオフ、④FHMレーザー加工、⑤マスク測長、⑥パッシベーションモジュ―ル等、である。

 

FHM

レーザーアニール

レーザーリフトオフ

その他FPDも堅調

 

根っこの力

 

 改めて、FPD業界が、大きく変容し、多くの会社が淘汰、消えていく中で、Vテクはよく生き残り成長してきた。2018年には、フレキ化が本格化する。その際には、製造方法や検査も材料も大きく変わる。そこで、改めて、真価が問われよう。

 

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