2016年6月1日 日立IR Day~7回目、継続は力なりだが…

 

619時~1650分まで、マスコミと合同の説明会、休憩をはさみ、充実した一日だった。

 

登壇者順に、概要は西山CFO、電力・エネルギーは長澤氏、小田氏、野本氏、アーバンソリューションは小林氏、ビルシステムは佐藤氏、鉄道ビジネスはドーマ氏、システム&サービスビジネスは山本氏、塩塚氏、ヘルスケアは渡部氏、産業流通・水を宇川氏、酒井氏、サービス&プラットフォームは小島氏、インダストリアルプロダクツは青木氏、オートモーティブは関氏、と計11セッション。過去は、セッションによって、参加人数が大きく変わり、質疑が少ないこともあったが、今回は、どれも、そこそこの関心であったように思う。

 

危機から7回目

 

 90年代も、ITや重電、半導体・ディスプレイに関しては、事業説明会があったが、IRデーとして開催は、リーマンショック危機で大きく業績が悪化して、当時の川村CEOが始め、今回で7回目。継続は力なりではあり、IR等の関係者には感謝したいが、回を重ね、日立自身も業績が回復、ポートフォリオも変わり、良い面と悪い面が出てきたように思う。

 

7回目は立派だが一度工夫の余地

 

今回の組織改編で、セグメントが無くなったのに、継続性と分かり易さを重視して、工夫された、旧情報通信関連のプレゼンがある一方、一部のセグメントでは、昨年までは開示された重要な数字が消えるなど、プレゼン資料の工夫にバラツキが目立った。

 

多様な事業で、プレゼンターの能力も多様、参加者も多様、質問内容やレベルも多様なので、運営の仕方を、一度、再考すべきだろう。ワークショップ方式や、ポスターセッションなどがあってもいいだろう。もっと、つっこんだ議論の場があってもいいし、消化不良、欲求不満も残る。

 

西山CFOによる概要

 

 ここでは物流、キャピタルの株売却と30%超えを維持する背景や、セグメントの新旧の説明があったのは良かったが、大変化があった場合は、もう少し丁寧な説明や質疑の時間があってもいいだろう。

 

2016~18年度の3年間CFでは、OP-CF3兆円、CAPEX1兆円からコアCF1兆円、物流・キャピタルの株売却で3000億円、これで1.3兆円、ここからM&Aや投資に1兆円ゆえ、FCF3000億円以上となる。なお、M&Aも含め、1兆円投資は、過去3年の倍増。

 

 全社消去の計算が合わない部分があるが、若干のバッファがあるようだ。特に、今回からは、フロント、プラットフォーム、プロダクツ、の3階層で、それぞれ調整消去があるはずで、そこも示すべきだろう。

 

さらに、経営説明会で、私の割引率に関する質問に東原CEOが誤解して回答したようだが、そこも、改めて説明すべきではないか。過去の有報を見ればわかるように、2012年度以前は、何度か、開示されており、レンジと平均値で記載、2012年度→13年度では、セグメント別に、情報通信が5%6%、重電が4%NA、製造装置関連が87%95%、材料関連が5%9%、クルマがNA9%であった。

 

また、ROAを重視するなら、フロント、プラットフォーム、プロダクツ位で、B/Sを分けて示すべきだろう。調整後営業利益という誤解されやすい数字もIFRSも色々バージョンがあるが故に説明がいる。

 

電力・エネルギー

 

 全体では、2016年度 売上4630億円、EBIT230億円から、2018年度売上5500億円、EBIT700億円、サービス比率48%が40%、海外が13%から16%。原子力では2016年度1500億円が18年度1650億円、2020年度2800億円、サービスが90%75%50%となり、2020年度に大きく変わる。

 

 やはり、原発中心に、懸念が残る。ホライズンに関してEPC移行前に株売却となるが、UK政府支援もあり、自ずと決まるとの回答であり、政治情勢が不明な中では不安。また、オペレータの選定も国内電力も含め可能性があるとした。ホライズンの時価評価も「しっかりやっている」に留まった。

 

割引率については、他社と大きく変わらない、としたが、新興国に広がると数字が大きく変化し、また長期のため、1%でも違うと差が大きいことは認識しているようで席からも心苦しい様子は認識できた。また、現場では開示の必要性は理解しているようだった。

 

 

 

アーバン

 

 新しくできたセグメント受注も2018年度330億円、2020年度で1000億円に過ぎないが、ヤル気は感じられた。

 

ビルシステム

 

 表面的には優等生。2015年度売上6509億円、Opm10%2018年度売上6500億円、Opm11%であり、海外は60%弱。

 

鉄道

 

 流石のドーマ氏の実績を踏まえたプレゼンは素晴らしく、質疑も明快であった。UKEU離脱リスクについても、同じ質問があった経営説明会での東原氏の回答と比べ桁違い。

 

産業・流通・水

 

 これまでマル情あるいは大みか部門だったが、今回からフロントとなり、組織的に大きく変化があった。

ヘルスケア

 

 一部組替えで産業流通に移り売上で160億円異なる。2015年度は売上3326億円、OPM7.6%EBIT6.6%、海外64%を、20184400億円、Opm10%EBIT10%、海外70%に。日立の資金力やITを展開すれば、本来強力だが、なかなか難しそう。

 

金融公共

 

ここも、マル情だったが、今回からフロント。国内中心であり、売上は横這いが続く。

 

システム&サービス

 

 今回の大再編は、「マル情」を、プラットフォームという横串と、応用分野別にフロントとして縦に位置付ける、「マル情」解体が鍵であったが、その旧マル情部門を、継続性から丁寧に開示。

 

サービス&プラットフォーム

 

 昨年はCTOだった小島氏のプレゼン。内容は殆ど注目のLumadaの説明だが、非常に理解が深まった。

インダストリアルプロダクツ

オートモーティブ

全体感