2016年6月24日 京セラの中期は通信機の展開がカギ

 

本決算では説明会に参加できなかったので、先週、訪問しフォローした。4月時点での年間見通しや中期計画を再確認した。足元の話は確認していないので不明だが、今の為替や市況動向から想像すると、業績達成は楽ではないだろう。

 

業績は実態横這い、説明会では通信機リストラと株主還元が好感された

 

 全社では、業績は、2015年度売上14796億円、OP927億円、NP1091億円、2016年度は売上15200億円、OP1100億円、NP850億円。ハイテク市況軟化、円高の中で増収増益だが、前期は、京セラディスプレイ(買収した旧オプトレックス)の営業権減損180億円、AVXの訴訟費用50億円があり、OPでは反動減、売上では買収したSGSや日本インターが今期はフルに効く。これらを除くと、実態は横這い計画に近いだろう。上期の計画は非開示だが、例年、後半挽回傾向だが、今年は一層、その傾向が強まろう。

 

 2016年度1QOPは、昨年1QOP326億円(部品事業利益256億円、機器事業利益数億円)に対し、100億円水準(部品100億円、機器赤字)の可能性もあろう。上期でも、スマホ次第だが、OP400-500億円程度がせいぜい、年間でも、円高やスマホ景気を考えると、達成は容易ではないだろう。

 

説明会での質疑は、以前から指摘されていた、機器やソーラー等の将来性や、リストラを発表した通信機器事業の内容や効果、KDDI株式売却の理由など。これまではあまり手が付けられなかった課題の通信機器の工場集約、配当性向40%程度の水準が示され、株主還元充実と株主層拡大を示唆されたことはプラスだったようだ。

 

セグメント動向

 

 以下、セグメント別に記すが、2015年度⇒2016年度、OPは、ここでは事業利益を示す。

 

中期はクルマ関連

 

 中期では、クルマ関連事業の拡大に期待だが、2015年度1800億円の中には、クルマ向けに搭載されるデバイス等の他、クルマの製造に使われる工具なども含まれている。

 

経営重心®によるリストラ分析

 

 京セラは、部品メーカーに比べ、セット・システム事業がある分だけ、ドメインが広い。それだけ、経営重心®がジャパンストライクゾーンから外れ、業績密度が薄い。そこで、課題のソーラー、通信機、課題でないがセット事業であるOAについて、事業売却撤退した場合に、経営重心®やドメイン広さがどうなるか試算した。三つのケースの中では、通信機を辞めた場合が、広さ最小で3をやや切り、経営重心®も動かない。