経営重心と流動性、ソフトバンクのような業態をどう考えるか

 

 経営重心分析に関して、横軸が事業サイクルであることは、製造業ではトップ以下からは十分な理解を頂いているようだが、縦軸に関しては、数量の桁数であることが何故、重要かを再確認させて頂きたい。

 

経営重心でなぜ縦軸が数量の桁数か

 

通常なら、縦軸は単価で、これなら、よくあるが、あえて、単価を取らなかったのは、経営重心では、単位に¥などの金の単位を入れたくなかったからだ。金額の指標は、結果指標であり、これを使うと、トートロジーになるからだ(ボスコンのPPMも、未来を予想するようで、過去の結果だ)。特に、単価は需給の結果であり、特にデバイスなら長期では大きく値下がりし、分析不可能となる。

 

数量で桁数をとったには、事業の広さの面積を計算する場合に、横軸と単位が合いやすいからだ、また、桁違いという言葉のように、桁が違うと、市場構造やモノ作りも変わるのは著書でも指摘した通りだ。

 

横軸は時間の流動性、縦軸は数量の流動性

 

実は、そして、大事なことは、横軸のサイクル軸は、時間の流動性であり、縦軸は、数量の流動性とも関係する。この流動性という概念は、統計や数学での「大数の法則」あるいはNにも近いが、極めて重要であり、流動性が高いこと自体、価値が高い。

 

これは運用の現場で体感した。リスク-リターン曲線は証券理論で有名だが、実は、この2軸だけでなく、本来、流動性という第3軸を入れるべきだろう。高いリスクに応じて、高いリターンが必要というのが証券理論だが、実は、低い流動性資産も、高いリターンが必要なのだ。

 

金融でも流動性が大事

 

金融でも、長期のVB投資は、時間も数量も、流動性が低く、EXITが難しい(時間の流動性は、直ぐにEXITできない、数量は、EXIT先が少ない)。短期の為替や日経平均などの指数なら、両方が高い。個別株で売買が少ない小型銘柄では、数量の流動性が小さくなる。ただ、金融は、モノよりは、流動性が高い。

 

経営重心2.0以降

 

 経営重心2.03.0では、縦軸と横軸を、こうした流動性に拡張すると、金融なども扱える。非製造業は、数量は製造業と同じ桁数だが、サイクルは1年未満が多いだろう。

 

 

ソフトバンク

 今後、ファンドとコングロマリットの境界が消えるなかで、ソフトバンクのような企業を、どう経営重心で分析するかが、大きな課題であり、チャレンジだ。