東芝についての整理

 

ここ数日、日経新聞で「検証 東芝危機」と題して、特集が組まれてきたが、新しい話はなく、これまで、散々議論されたことの蒸し返しだった。何度か指摘している社外取締役について示唆があるかと思ったが、無かった。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27562810R00C18A3TJ2000/

 

社外取締役の問題

 

 そこで、代わりに、小生が、現時点での整理を試みたい。まず、最も総括すべき点は、今後、増大する社外取締役についてであろう。現在の社外取締役の構成員は、産業界のトップが多かったが、過去、特に不祥事が起きた時点では、学識経験者が多かった。委員会設置会社・社外取締役による仕組み導入は早かったが、中身が伴わなかった。要は、会社側が、「お飾り」を期待していたのか、実質を期待していたのか、総括・検証すべきだろう。その中で、財界人であれ、学会、官界であれ、どういう人材が要求されるのか、その条件が提示されるべきだろう。

 

 マスコミでは、WHの買収問題や不正会計が有名だが、実は、それ以外にも、電力流通関連や、白色LEDなど、失敗したM&Aが多い。

 

東芝とメモリ社の関係

 

 次いで、東芝本体とメモリ社に分けて、議論する前に、経営重心やリソース配分から見ても、その分け方については、妥当適切だといいたい。

 

 しかしながら、3Q決算時点の数字は、期末ではないので、まだ不明な点はあるが、二つのB/S、特に自己資本の配分が適当ではないように思う。

 

具体的には、東芝本体は、自己資本比率が37%1.5兆円であるのに対し、東芝メモリが自己資本42%6000億円程度はバランスが悪いだろう(これはベイン次第でもあるし、アップルが出資から引上げ、INCJ等が数千億円いれ、もう少し改善するのかもしれない)

 

本体は、今後は、国内中心で、ローリスク・ローリターン、長サイクルで、それほど、金がかからないが、東芝メモリは、グローバル競争で、強豪も多い、ハイリスク・ハイリターン、短サイクルで、金がかかる事業である。せみて、70%位の自己資本比率はほしい。

 

メモリ社の競争力とトップ人事

 

メモリ社の競争力については、現在は、前工程は、四日市は中心だが、建屋に関し、敷地が狭い。また、後工程が弱い(WDとの比較においても)、これも、為替リスク回避やサプライチェーンも含め、WDなどと協業して、再構築していいだろう。工場立地や顧客対応、資金問題、資本構成も含め中国との関係は、ビジネスモデルも含め検討していく必要があろう。

 

そして、最も重要なのは、DRAMをどうするかだ。サムスンなどは、バンドルでの共有をしており、DRAM不足、NAND余りなどの場合は危険である。

 

 外部人材の招聘は、本体は、車谷さんでいいが、メモリ社はもっと重要である。こういう問題が起こった以上、グローバルな視点と、デバイスであれ、装置であれ、材料であれ、半導体関連のキャリアを持つ社外からのトップは必須だ。

 

東芝本体の業績と将来性

 

 今回3Qの開示情報で、リストラ費用を除けば、本体は、実力ベースで、売上4兆円弱、OP800億円だと判明した(なお、今期は、リストラ多くゼロだが、来期は800-1000億円だろう。B/Sは、国内インフラ事業が多く安定しているので、1.5兆円の自己資本は不要であり、カネがあるなら、ポートフォリオ再編を進めるべきだろう。

 

 問題は、なお、リストラ途上であるPCTVであり、これは累積では巨額の損失だ。さらに、今後、非メモリのデバイス事業をどうするか、重要だ。

 

今回、会長となる車谷氏は、綱川氏を経営企画的にサポート、社外取締役との連携、ファンドやメインバンク、政財官界との接点、事業をファンド目線で、ポートフォリオを見ることが大きな役割だろう。

 

現時点では不明だが、将来のトップの可能性も含め、技術系の横グシ人材であるCTOの昇格やCIO(チーフイノベーションオフィサー)は不可欠であろう。