モノからコトへ、そしてカネへ

 

モノの価値から、コトの価値への転換が重視されている。モノであれ、コトであれ、最終的には、その価値は、人間にとって有益か否かを、\$といった金額で計測する。モノそのものは、kg、㌂、㎩などと言ったMKS単位で定量的に計測され、演算される。理工学では、こうした豊富な単位系で、概念が増え、それが現象理解にも役にたってきた。他方、金融や経営学の分野では、その単位は、円や$などが中心であり、単位系が貧弱である。

 

同じ単位同志は、加算減算が可能だが、異なる単位では加算演算はできず、乗算割り算のみだ。他方で、乗算や割り算から、kg/㎥などの密度、Wh/kgといった新しい単位系や概念が導出される。更に、微積分もある。豊富な単位系で概念も価値も増える。

 

IoT時代は異なる単位系の多様なセンサからのデータ処理が付加価値を生む

 

実際、IoTでは多くのセンサから入力される多様なデータを扱うが、そこでは、センサの多様性と知識推論が価値を生む。

 

血圧計や体温計の単体では、圧力や温度という単純な物理量だが、これに人体に関する知見や複数の単位によるデータを統合して判断することで、健康状態や疾病予測に繋がる。そして、更に、医療保険と組合せれば、医療費削減など、カネで計れる価値に繋がる。

半導体工場でも、複数のセンサの組合せと、多量かつ多様なデータがあって、歩留まり向上やLT短縮など生産性向上となる。

AIスピーカーは、音に推論だけだが、ソニーのAIBOでは多様なセンサがあり、音だけでなく、顔色や臭いなども組み合わせることで、音の背景の言葉の意味の正しい認識に繋がるだろう。

 

 すなわち、IoT時代の価値創造においては、多様な単位系とデータ・推論が鍵となる。すなわち、モノ価値から、コト価値、そして、最後は、カネの価値になる。

新結合

 

Entrepreneurは、英語では、いわば、Take between、すなわち、媒介者である。IoT時代には、結合の仕方が、「もの」同士のレベル、「もの」と「こと」の掛け算でも、それが、まさに、価値を創造する。その結合は、同種結合と異種結合で異なる。

 

同種の結合から成るネットワーク外部性に関しては、経営学でも、通信工学でも、90年代後半から多くの研究分析が成されている。しかし、異種結合に関しては、研究はこれからだろう。