シャープと鴻海の化学反応と課題

 

シャープが鴻海傘下となることが決まって2年になる。鴻海かINCJかを巡って、議論が分かれ、大半の論者はINCJだというものだったが、鴻海のグローバル経営力や生産技術力はじめ、シナジー効果が大きいことから、一貫して鴻海しかないと主張した。また、鴻海傘下でシャープは復活すると主張したが、多くの有識者の否定的な見方に反し、実際は見事なV字回復だ。こうした背景で、重要な点は、シャープと鴻海の相性であり、企業文化の化学反応である。

 

 そこで改めて、シャープと鴻海の相性や化学反応と課題について考えたい。シャープの経営特性を考えた場合、他の家電メーカーとの比較において、相対的な長短は以下だろう。要は商品開発センターなのだ。他方、鴻海は、EMSであるせいもあり、自らは商品開発も基礎研究もしないが、量産力、調達力は世界有数であり、グローバル経営力もある。そして、資金力もある。商品開発センターであることが本質のシャープと、グローバル量産工場である鴻海は、実際、見事に補完し合い、シナジー効果が大きかった。さらに、シャープの関西企業かつオーナー系で早川徳治譲りのベンチャー精神と、台湾のオーナー系である鴻海の社風も妙に、相性が良かった面もあり、不思議な化学反応が生まれたのである。

 では、今後の課題は何か。シャープと鴻海の共通の弱みは下記だろう。

 大きな中期課題は、今後のR&DVBをどうするか?オープンイノベーション導入だろう。両社とも苦手であり、真剣な取り組みが期待される。