新生 東芝のデバイス事業〜決算とNEXTプランから見えるもの

 

去る11713時半からの説明会参加後、第一印象を記した。https://www.circle-cross.com/2018/11/08/東芝のnextプラン発表会の第一印象-リストラ対象事業や社員-売却されたメディカル-メモリなどの社員は泣いていないか/

 

その後のHP視聴による再確認、さらに119日のスモールミーティングでのフォローアップを踏まえ、決算及びNEXTプランについて、内容別に紹介、論考したい。まず、今回はデバイスである。

 

メモリを出した後でも、半導体はディスクリートとアナログ中心に、国内最大級、ロームと同等

 

メモリをカーブアウト後、東芝に残ったデバイス事業は、ストレージ&デバイスのセグメントのHDD、ディスクリートやアナログ、システムLSI等の半導体である。メモリを出して、何もデバイスが無いと誤解も多いが、なお、売上4000億円、OP100億円以上と、ディスクリートやアナログでは、国内最大級。赤字ながら、システムLSIでは、クルマ向けでは、クルマ向け画像処理のViscontiはじめ、高い技術力を有する。90年代は、メモリだけでなく、世界でもトップ水準であり、ソニーとのPSのエンジン向けプロセッサなど有名であった。ディスクリートは、80年代から高収益事業であったが、2000年代後半から、過大投資や白色LEDM&Aの失敗、三菱電機とのパワー向けのミスもあり低迷したが、ようやく、かつてのOpm10%程度に戻った。

 

 

なお、半導体の中には、子会社のニューフレアテクノロジー社(以下、NFT)が入っている。この中で、パワーデバイスは、新規成長事業、他方、システムLSIはモニター事業と位置付けられている。リチウムイオン電池もデバイスであり、新規成長市場との位置づけだが、別セグメント。

 

上期はHDDが弱く、通期をHDD中心に下方修正、引き続きシステムLSIが課題で下ブレ

 

2018年度上期は、ストレージ&デバイスは、売上4568億円、OP106億円、増収減益。内訳は、半導体が売上1764億円、OP56億円、減収減益、HDDが売上2804億円、OP50億円、増収減益。増収だが転売分が多く実態は弱い。

 

2018年度通期は、全体で売上8700億円、OP290億円だが、期初より、売上400億円、OP80億円の下方修正。半導体は、売上36803655億円、OP240164億円と、下方修正で前期比横這いへ。HDDは、売上5045億円、OP126億円と下ブレ。

 

 

中計は、パワーデバイスが牽引

 

 NEXTプランでは、2018年度のセグメント売上8700億円、OP290億円、EBITDA510億円、2019年度、売上8600億円、OP580億円、EBITDA820億円、2021年度には、売上9400億円、OP820億円、EBITDA1110億円。

 

半導体は、NFTが不明だが、2018年度、売上3655億円、OP164億円、EBITDA344億円、2019年度が売上3800億円、OP360億円、EBITDA550億円と急拡大、ディスクリートがOPM10維持、システムLSIも黒字化、OPM4-5%の模様。2021年度には、売上4200億円、OP510億円、EBITDA730億円となる。

 

市況が現状のままで、システムLSIがベストケースで採用された場合は可能だが、ややリスクがあろう。HDDは、増収OP倍増は、やや甘いだろう。

 

 

 

アナログ半導体業界再編の鍵

 

パワーデバイスは、全体でも、高成長分野として期待され、重電系など、シナジーもあるため、カーブアウトの可能性は小さいが、モニタリングのシステムLSIは、アナログ等が含まれる場合も、そうでない無い場合もあろうが、アナログ半導体業界再編の中で注目されよう

 

デバイス&ストレージ社の価値

 

セグメントの対象となるデバイス&ストレージ社は、資本金100億円、従業員2.2万人、昨年度の有報ベースでは、資産3142億円(セグメント別で4090億円だが、NFTを含むと思われる)、流動資産2245億円、固定資産897億円、負債2425億円(流動負債が2117億円)ゆえ、純資産が717億円となる。

 

システムLSI部門は車向けViscontiが鍵

 

 システムLSI部門の赤字の背景は、車向け画像プロセッサのViscontiだが、自動運転向けにデンソー等に採用されている。http://www.toshiba-clip.com/detail/5886/2