半導体不足とCASE化とケーレツ

連日、半導体不足、ファウンドリ値上げなどの報道が相次いでいる。特に、部材調達に際しては、日本のクルマメーカーは、ケーレツというエコシステムの頂点にあって優位だが、グローバル競争、ファウンドリには常識である、「クルマといえず優先できない、値上げも当然」が、難しいようだ。

 要因は、第一に、米中摩擦の中で、SMICからのシフトで、TSMCなどに集中、第二に、インテルなどの垂直統合モデル企業もファウンドリへ依存シフト、第三に、EVADASでクルマの半導体搭載比率の予想以上のアップ、第四に、スマホ市場のマイナス幅が少ない、等があるだろう。

半導体不足「車向け優先は無理」 台湾UMC  :日本経済新聞 (nikkei.com)

半導体微細化、TSMC独走 インテル・サムスン寄せ付けず 株価1年で倍に :日本経済新聞 (nikkei.com)

[FT]半導体不足で露呈する自動車製造の新しいカタチ  :日本経済新聞 (nikkei.com)

 特に、クルマ向けは8φが中心であり、後工程のパッケージも含め、品質要求も厳しく、急な対応が難しい。また、半導体メーカーだけでなく、クルマメーカーやTier1の存在感もあり、サプライチェーンが複雑だ。今後、CASE化の中で、ケーレツ構造も変わりつつあり、水平分業も始まるが、それに業界が対応していないのだろう。

 まさに、こうした事態を予期して、経産省などが、TSMC等のファウンドリを誘致、あるいは、産業界でも、国内ファウンドリを育成するという動きは、先見の明があるだろう。