総合ファウンドリ構想の検討

現在、多くのファウンドリが対象とするのは、ファブレス企業向けのロジック半導体である。その多くは、微細加工ルール別やウェハー口径で棟が分かれている。また、クリーンルームの中は、装置毎に区切られている。

 このため、先端ロジック半導体とコモディティの半導体の差は、微細加工に負担度合であり、イオン注入などは同様で、露光機の波長やマスク枚数、配線工程に関係する、成膜やエッチングの装置が異なってくる。そのため、コスト的には無駄だが、最先端のラインでコモディティ半導体を製造できなくはなく、かなりの部分は共通である。異なるのは設計やレシピである。

 この20年はファブレス/ファウンドリモデルの中で、TSMCの先端ロジックに特化する工場は完成の域に近づいただろうが、2030年以降を見据えた工場体制の在り方を、まだ、日本の混流ラインの現場に関わった技術者が顕在である今こそ、そうした知恵を振り返り、TSMC等と連携して、日本も貢献でき、リードできるのではないか。

 そして、インテルがファウンドリに参入し、新工場建設を発表した。このファウンドリとも差別化するためには、先端ロジックだけでなく、メモリやイメージセンサ、アナログ、パワー、さらに、後工程パッケージまで対応可能な次世代の総合ファウンドリを検討すべきだろう。

 

 世界のファウンドリは、地政学リスクがある台湾から、米や日という三極でバランスが取れた状態になっていくだろう。最終アプリケーション、ファブレスのユーザーに近いそれぞれの地域で、独自性を発揮すべきだ。台湾はスマホなど、米はサーバーなどが中心のファウンドリ、日本はクルマや産機、IoTインフラ向けの広いアプリケーションと、メモリやセンサも可能なファウンドリだ。