リカーリング・サブスクリプションで、経営重心がどう変化するか

経営重心分析は、もともと、電機や機械など製造業のポートフォリオに関して、事業ドメインの広さやバランス、経営スピードなど定量的に評価するために、考えたものである。それゆえ、横軸の固有周期を表すサイクル軸は、1年から数十年、縦軸の固有桁数は、1から10数桁であった。その後、対象を、素材産業やソフト、さらに、流通や金融など非製造業に広げた。その中で、固有周期は、1年未満の月、週、日、時、分秒まで対象とし、概念を時間的な流動性と考え、他方、固有桁数は、㎡やtなどの単位は、通常使う分量で自然数化(ビールならℓでなく、本数)SIなどは顧客数や工程数、金融なら取引量とし、数量の流動性と考え、経営重心分析を可能にした。これにより、製造業と流通や金融を同じ土俵でポートフォリオを分析でき、製造業の非製造領域への多角化も評価可能になる。

 他方、ここ数年で、リカーリングやサブスクリプションを取り入れる動きがあり、その場合、固有周期や固有桁数をどう扱うか、また、そこで、経営重心がどう動くかは、興味深いところである。

 今回、パナソニックのブルーヨンダ(以下、BY)M&Aの事例で考察してみる。

これらが統合、融合、ビジネスモデルもリカーリングになれば、CNC社の経営重心は右上に動き、パナソニック全体でも右上に動くことになる。

もっとも、リカーリングやサブスクリプションでも、PFの更新や大規模な技術変化もあり、また、ユーザー自身の業界構造変化もあるため、サイクルは無くならないし、1年以下、あるいは、ソフトの入替が数週間毎にはあり、それらが、融合したサイクルになる。

 つまり、サブスクリプションモデルは、経営重心において、周期が長く桁数が少ない領域の事業を、安定化させるため、1年以下で頻度が多い事業を増やすことで、固有周期は短く、固有桁数は増えることになり、経営重心を右上に移動することが可能となる。

 これは、ジャパンストライクゾーンで、左下に外れた事業では、ジャパンストライクゾーンに引き込む効果がある。