東芝のデバイス分割がパワー半導体業界再編のカタリストになるか

 今回の東芝分割は、報道その他では、完全解体との意見もあるが、全く異なる。

 デバイスカンパニーは、メインは、パワー半導体であり、垂直統合性も持つパワー半導体は、インフラカンパニーにつける発想もあったが、分離されたことで、独自の発展が可能になる。他方、SCiBを持つ電池はデバイス側に持っていく可能性もあったが、インフラ側となった。 

 

デバイスカンパニーは、アナログパワー半導体では、ロームに匹敵する。それだけでなく、電子ビームマスク描画装置で世界トップのニューフレアテクノロジーなど製造装置も擁する。パワーでは、加賀工場に12φ投資も行い、独自の成長を描くのだろう。

 

パワー半導体は、原理や素子構造、技術、応用用途は、量も事業サイクル、ビジネスモデル全て、ロジックやメモリ等のデジタル半導体とは大きく異なる。この結果、業界構造が韓国台湾中国でなく、日米欧が中心だ。

 

 

 ファブレス/ファンドリ化もそれほど進んでおらず、垂直統合が中心であり、半導体だけでなく上流のウエハー基板からモジュールやシステムまで一気通貫モデルもある。モジュールになると、周辺の電子部品も含めた実装、耐熱性、機械強度、制御技術といった総合技術が必要になる。