経営学の危機とEBMを知ってますか

以前にも書いたが、日本の経営学アカデミアは統計大流行りだ。ケーススタディは馬鹿にされる。海外でも、EBMが流行しており、厳密な統計分析によるエビデンスを重視する研究が多い。政策立案でもEBPMが重視され、研究イノベーション学会でも多数の新たな統計ツールを使った研究があった。こうした点含め、経営学が抱える多くの問題点について、サセックス大学のデニス氏が、危機感を訴えた力作がある。経営学の危機: 詐術・欺瞞・無意味な研究 | デニス ゥーリッシュ, 佐藤 郁哉 | | 通販 | Amazon

 役者の佐藤氏によれば、「経営学の分野には、研究者として本来取り組まなければならないはずの、本当の意味で重要な問題を無視してしまうという傾向が存在しています。(中略)。その代わりに経営学者たちの多くがおこなってきたのは、代わり映えのしないテーマを取り上げた上で、それに些細なバリエーションを付け加えただけの論文を書く」という。

野中郁次郎先生も、同様の指摘をされており、過剰分析は、人間を扱う社会科学の本来の良さを失っているという。「経営は『生き方』を問え」野中郁次郎・一橋大学名誉教授に聞く (2ージ目):日経ビジネス電子版 (nikkei.com)  

加えて言えば、便利な統計ツールが登場し、ソフトを回すだけで、体裁は、ビジュアルで、論理的な論文ができるため、そこに安住している。社会科学や人文科学で、最も重要な「問」や「考察」が抜け落ち、独創性、示唆性がない。実社会と乖離している例が多く、それが、実社会企業側とアカデミアの壁が高くなっているのではないか。