Rapidusの注目度が高い。電子デバイス新聞では、2022年度ニュースランキングで、Rapidus誕生が1位。熊本TSMC誘致は6位。2位が米CHIPS法、3位が対中規制、4位が半導体市況下降だった。また、年末の日経新聞社長100人アンケート調査では、半導体国産化について社長の8割が支持だった。半導体の国産化「支持」8割 社長100人アンケート: 日本経済新聞 (nikkei.com)
さらに、日経の村山氏が、Rapidus会長の東さんについて、経緯にふれ、73歳のアントレプレナーで取り上げられている。ただ、東さんは、大きく貢献はされているが、中立的位置づけなので、アントレプレナーなら小池さんであろう。半導体再起へバトンつなげ 73歳のアントレプレナー: 日本経済新聞 (nikkei.com)
TSMC誘致も当初は、「ありえない、来るわけない」から、「外資系に国費を使うのか」「経済効果は見込まれず無駄」など、マスコミでも、批判が多かったが、決定し、動きだし、九州が活気づくと、2兆円効果から4兆円まで、空気は一変した。
Rapidusは、それ以上に、ボロクソだったが、国やRapidusの東/小池コンビの人徳もあり雰囲気は変わりつつある。ただ、厳しい意見も多く、TSMCやサムスンからの誤解を恐れる業界関係者も多い。マスコミは日の丸復活、TSMCに勝つか、という勇ましい論調になりがちだが、経産省、Rapidus関係者も含め、真逆の認識であり、懸念しているが、全く同感である。
実際、RapidusはTSMC等と全く競合しない。ビジネスモデルも大きく異なるだろう。もちろん、TSMCを技術や戦略ではお手本にすべきだが、TSMCは水平分業の中、B2Cの端末市場中心、本来、米も中国も含め世界の大量かつ標準の市場だ。これに対し、Rapidusは、中量生産のインフラ市場であり、GAFAMのカスタマイズされたチップのファウンドリ向けだろう。
そこは、R&D段階から各社各社と同時に独自のVC(バリューチェーン)とSC(サプライチェーン)を築く必要がある。カスタマイズという意味では、パッケージも含め完全に標準ではないだろう。
「CHIP WAR」でも指摘されたが、米にとって、中国は最大の市場だが最大のライバルゆえ、また、微細化困難から、「CHIP Faster」戦略が難しく、これまで、インテル中心に、半導体で常識の「先行して量産」というビジネスモデルから脱する必要がある。また、そこに、Rapidusの機会と存在意義がある。日本は米や台湾とも連携して、補完し合うし、エコシステムを築く必要があるといえる。そして、その鍵の一つが、日本版NTSC、LSTCの存在と活用だろう。