TSMC熊本第二とRapidus千歳

TSMCが熊本菊陽町のJASMに続き、熊本に、20年代後半に、総額1兆円を投じ、5nm級の最先端の工場を建設するようである。立地が決まれば、その一体に集中させるTSMCのこれまでの工場立地戦略からは想定できる話である。ただ、前工程だけであり、OSATがどうなるかは不明だ。

Rapidusも、複数の報道によれば、千歳に工場を建設する模様だ。年末から年明けから、話題になっており、多くのマスコミの憶測では、東北、関西圏、三重、茨城、東海、北陸など、噂があったが、いずれも外れた。Rapidus社長の小池さんが出身の日立、ルネサスには、かつて北海セミコンという半導体生産子会社があり、90年代に工場見学をしたことがある。周辺には後工程や関連サプライチェーンがある他、千歳先端科学技術大もある。空港から至近で、敷地も広い。千歳空港からシリコンバレーやAlbanyなどへ直行便ができれば最高だろう。

北海セミコンは、ミネビアミツミによる買収により、同社のファウンダリ拠点となっている(他に野洲もある)が、このほか、ミネビアミツミは、売上400億円規模のセイコーインスツルからABLIC(エイブリック)もグループになり、アナログ半導体等では存在感が増している。

かつての北海セミコンの経緯やミネビアミツミの実績、何よりも、北海道や千歳地元の積極的誘致などが背景だろうが、電力代はやや高めであり、人材面確保などは、発表を待つことになろう。何よりも課題は、TSMCも同様だが、EUV設置に関わり、原発一基もいるという電力や高圧ガス法なども鍵になるだろう。さらに、OSATも含め、後工程やサプライチェーンがどうなるかだ。

 

 その上で、重要なことは、TSMCが熊本第二で、先にEUVを入れ、5nmだけでなく、2025年以降に、2nmも手掛けた場合のRapidusとの棲み分けだ。