初の女性総理大臣である高市氏の所信表明演説をTVで視聴した。彼女のスピーチは笑顔(目を細める)と真顔(目を見開く)、高い声とドスの効いた低い声を使い分け、スピードも変えながら力強く訴えることに特徴がある。明るく前向きで、気持ちが暗く悩んでしまうような石破氏とは大違いで表情の使い方は大いに参考になる。プレゼンで、高低と速度と大小を使い分け、いわばメロディーを奏でるようにすることは務めてきたし授業でも言っているが、表情については、自分の顔に劣等感もあり、無頓着ではあったが、笑顔は重要だ。幾つかにキーワードがあったが、そこで「決断と前進」は田中角栄の「決断と実行」を彷彿させ「日本列島を強く豊かに」も「日本列島改造論」を思い出させる。約50年前と国際情勢と類似点も多く(中国との関係は対照的だが当時は国交回復で今回は緊張)、この辺りは「デジタル列島進化論」を書く前に「デジタル列島改造論」を経産省などと共有していたので同じような思いが霞が関や永田町であるのかもしれない。高市総理はほぼ同年なので同じように昭和、平成、令和を行き、日本列島の栄枯盛衰に対する思いは似ているだろう。女性というハンディを指摘する声が多いが、それ以上に彼女はカバン、カンバン、ジバンも無かった。政治家二世が多いなかで異色である。また、奈良は都会か田舎かは議論があるが地方ではある。その意味では裸一貫、まだ東大官僚出身が多かった政治家の中で小学校卒の田中角栄とも似ているような気がする。
所信表明は、1.はじめに、2.経済財政政策の基本方針、3.物価高対策、4.大胆な「危機管理投資」による力強い経済成長、5.食料安全保障、6.エネルギー安全保障、7.令和の国土強靭化対策、8.健康医療安全保障、9.地方と暮らしを守る、10.外交・安全保障、11.憲法改正・皇室典範改正・昭和100周年、12.むすび、となっているが、経済、食料、エネルギー、健康保険も安全保障、安全保障とは言ってないが、9.の地方と暮らしも同様であり、こうした切り口から捉え、これを「危機管理投資」と結びつけたことに独自性がある。そのためには2.が不可欠であるということでストーリーに一貫性がある。そして、それぞれにテクノロジーやイノベーションが絡んでいる。これまでで、あれば、テクノロジーだけで科学技術政策として、纏めて出てきていた。それが、今回は、テクノロジーと社会課題解決が連携、安全保障ゆえに喫緊であり(これは最後で最大の機会)、ゆえに積極財政で、しかもそれが成長にもつながるというストーリーだ。4.には、半導体やAIなどが登場するし5.もAI解析、センサー等のキーワードがみられ、6.には光電融合が出てくるし、7.にはデジタルや衛星情報が出てくる。そしてなんと、9.にはラピダス、TSMCである。ラピダスやTSMC等という個別の企業名が首相の所信表明演説で登場したのは極めて珍しく、それが地域未来戦略のくだりで出てくるのは、列島改造論的発想であり、我が意を得たり、だがDCも欲しかった。
