カテゴリ:2019年10〜12月



31日 12月 2019
平成時代、あるいは20世紀の後半に、経営者に影響を与え、MBA等のビジネススクールでも必ず教えられたのが、ポーターが始めた競争戦略や、マクロ経済での需給曲線だろう。そしてMOTでも、コア科目となっている。...
30日 12月 2019
去る12月上旬に投資家アナリスト向けの東芝加賀工場見学会に参加した。同工場の見学会は、約10年ぶりである。小松空港から、会社のバスで約30分、能美市にあり、JOLED工場と隣接。13時過ぎから16時半まで、ディスクリート半導体事業部長の岸本取締役、加賀東芝エレクトロニクス徳永社長などが出席、プレゼンや質疑対応。30名程度がグループに分かれ、前工程と後工程を見学。ただし、CR内には入れず、初のVRによるリアルな見学。説明は丁寧で質疑も充実、貴重な見学会であった。 加賀は前工程の主力 加賀は、ディスクリートの主力工場であり、メモリー部門をカーブアウトして、今や、半導体の主力工場。 工場の概況 全体の月産個数は19億個であり、うち16億個が8φと6φ。工場の敷地面積は23万㎡、建屋5.8万㎡、延床7.4万㎡。人員は950人だが、派遣も含めると約2000人が働いている。 後工程見学 後工程見学では、東芝独自のマトリックス方式が興味深い。 今後の展開 今後は、前工程では、ジャパンセミコンダクター以外のファンドリーや、後工程では、特に、OSATを増やす可能性が高そう。
28日 12月 2019
JDIの迷走が、師走の最後まで続いている。 12月に入り、約6億円を着服して、その後、自殺した経理担当の元幹部から「過去の決算で不適切な会計処理を行っていた」との連絡があり、特別調査委員会を設けた。...
27日 12月 2019
 日経報道その他によると、NIDECは、日産自動車の副COOの関氏を次期社長含みで迎えるそうだ。2018年に社長に就任した吉本氏が、2年も経たずに早くも交替する可能性が出てきた。既に2019年度の説明会では、永守氏から、苦言も指摘された。NIDECでは、次期社長含みとされた呉氏(2013年に当時のカルソニックカンセイ社長から招聘、2015年退任後にルネサス社長)や、後継者とされた片山氏(元シャープ社長)もいる。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53811730V21C19A2TJ3000/  平成のフラットグロースの時代に、モータにフォーカス、モノづくりで成長を達成、大半の日本企業が失敗するM&Aも成功を続けている傑出した経営者である永守氏の数少ない課題が後継者である。
27日 12月 2019
 金融庁が12月24日、東証改革案を発表した。4つある市場を3つに集約するのを促す一方、これまで、報道されていた、東証1部の企業数を絞り込む強制的な措置は事実上見送り。時価総額基準も100億円となり、大半が横滑り。TOPIXも提言。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53738550U9A221C1MM8000/...
23日 12月 2019
去る10月25日に開催された㈱富士通研究所の説明会、富士通のR&D説明会は、大学の教授会と重なり、残念ながら、欠席だったが、HPから視聴したので、コメントしたい。質疑は、R&D規模、量子コンピュータ、富岳やHPCとAIの関係など、それほど多くなかったようだ。...
19日 12月 2019
富士フイルムが日立の画像診断機器事業を買収が決定した。日経報道12月18日朝刊の後、正式発表。買収金額は、日経報道では1700億円だったが、発表によると、両社は、事業価値1790億円で合意、最終金額は、精査後確定のようだ。この金額は、以前、報道されていた1000億円を上回る。...
19日 12月 2019
ミネベアミツミは2019年12月17日、エイブリック(ABLIC)の株式70%を保有する日本政策投資銀行(以下、DBJ)と同30%を保有するセイコーインスツル(以下、SII)から、エイブリックの全株式を取得すると発表。ミネベアミツミは同日付で、DBJおよび、SIIと株式譲渡契約を締結。株式取得金額は343.93億円。2020年7月ごろの株式取得を予定。 ABLICは、SIIの半導体事業部門が前身、レギュレーターICや電池保護ICなどアナログICが中心。 これにより、アナログ・ディスクリート業界の再編が進み、500億円から、1000億円を目指す展開となり、今後、他の半導体メーカー動向の行方が鍵だ。しかし、それでも、世界の再編規模の1/10だ。
19日 12月 2019
プラットフォーマーあるいはプラットフォーム(PF)について論考する。PFについては、意外と以前から論じられ、かつては、OSや業界の技術標準的な意味あいが多かった。それゆえ、ITだけでなく、自動車産業にも、PFの概念はあった。最近は、PFとは、「複数のユーザーグループや、消費者とプロデューサーの間での価値交換を円滑化するビジネスモデル」、「ユーザーとリソースからなり、好きな時にアクセスできるスケール化可能な大型ネットワークをつくり、ユーザーが交流し、取引できるコミュニティと市場」と定義されており、この方がしっくりくるだろう。また、PFには、1:1の交換型と1:nのプロジェクトあるいは放送型があり、かつてのPFは、メーカー型、最近、GAFAなどは、交換機型だろう。 IoTプラットフォーマーの競争力分解  そこで、電機メーカー等で、注目されるCPSや、IoTプラットフォーマー、また、各社のLumadaやPredixはどう位置づけるべきだろうか。  IoTプラットフォームは、各社のPFの概念図から、まとめてみると、要するに、データを取り込むOT(IoT)とIT(IoP)が両端にあり、その間に、エッジ、アセット管理、AI解析、その下に、社内ユースケース、最上層に、インターフェースのAPIがあり、更に、その上に、ユーザーのユースケースが蓄積されるブロック構造だと考えられる。  各社の差異や優位性、更には戦略性も、こうしたブロックで比較すると分かり易い。
15日 12月 2019
 ビジネスにおいて、「儲からない技術はいらない」、というのは、よく聞く話であり、ファンドやVCは、この基準で、ノーベル賞級の技術を持った会社でも、容赦しない場合もある。確かに、OBからノーベル賞受賞者を2人も出した神戸工業は、経営頓挫して、かつて富士通が救済したし、技術力があっても、経営がダメでは元も子もない。また、ストークスの分類(ブルッキングス)において、2012年科学技術研究所調査では、基礎研究どころか、基礎的原理も追及せず、研究用途も考慮しない研究が、日米比較では、日本に圧倒的に多く、問題だろう。  しかしながら、儲かる儲からない、の問題は、技術だけでなく、技術と経営の掛け算であり、いろいろなアプローチで技術を活かすことは重要だ。 その技術だけでは、ダメでも、他の技術との組合や、ビジネスモデルで生きる場合もあり、その技術を生み出す技術者のリソースが、VB投資やM&Aの目的である場合もあろう。  さらに、時間軸が、投資家と事業会社やメーカーで大きく異なる場合がある。投資家では、5年でも長期投資だが、事業会社にとっては、長期研究は10年以上だろう。このギャップはあまりに大きい。  そこで、ファンドタイプにより、投資家回収の時間軸(ファンドの固有周期)がどの位差があるのかを論考する。  まず、上場株式投資では、2012年現在、ほぼ1-2年であり、日本は1990年代前半では、4年以上の期間もあり、90年代は概ね3年前後だったが、2000年以降、短期化し、1年是で推移。  ファンドの種類により、上場株投資は概ね1-2年、PEは4-5年、ベンチャーでは、6-7年といったところだろう。国別では、日本が短く問題である。これは、投資先の事業や企業の固有周期との適合性も重要であり、早期の回収を目指すと、リターンが悪化する可能性がある。 この日本の投資家の短期傾向は、上場株式では、ガバナンスやGPIF存在で改善されつつあるかもしれないが、PEやVCでは問題であり、CVCや官民ファンド等が、5年でEXITさせたい場合の受け皿となることで、ファンドと事業会社の固有周期のミスマッチを解消すべきかもしれない。

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